近年、問題視されている「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。
- 従業員への暴言や過度な要求
が社会問題となり、企業や自治体が対策を進めています。
特に東京都では、カスハラを防ぐための条例が施行され、企業や従業員を守るための取り組みが強化されています。
しかし、

カスハラに関する条例はどの地域で制定されているの?



企業や従業員はどんな対策をすればいいのか?
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、
- カスハラに関する条例の現状
- 企業や就業者が知っておくべきポイント
- ほかの自治体の取り組み
についてわかりやすく解説します。
カスハラ対策を知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
カンタンな自己紹介
- 職業:自営業
- 40代 男性
- パワハラの告発経験あり
職場でのパワハラを経験し、社内外に相談・告発。加害者は降格・減給処分に。
この経験からハラスメント対策や法律を学び、現在はカスハラ・パワハラ対応の情報発信をしています。
1. カスハラに関する条例はあるのか?


カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する条例は、日本で実際に存在するのでしょうか?
ここでは、カスハラに関連する条例や法律について解説します。
1-1. 日本におけるカスハラ対策の現状
現在、日本ではカスハラを直接規制する
「全国共通の法律」はありません。
しかし、いくつかの自治体では独自にカスハラを防ぐための条例を制定しています。
特に東京都では、「従業員を守るためのカスハラ防止条例」が施行され、企業や自治体が連携して対策を進めています。
2024年10月4日に、「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(東京都条例第百四十号)」(※1)(以下、「本条例」といいます。)が成立しました(2025年4月1日施行予定(附則1項))。本条例は、カスタマーハラスメント(以下、「カスハラ」といいます。)を防止するための全国初の条例であるとされています。
引用元:https://www.ushijima-law.gr.jp/client-alert_seminar/client-alert/20250121/
また、国としても「労働施策総合推進法」において、企業に対しカスハラ対策を求める指針を示しています。
このように、法律レベルでは全国統一の規制はないものの、
- 自治体ごとに条例が作られる
- 国が企業に指針を示す
形でカスハラ対策が進められています。



すでにカスハラ対策がされてきていますね
1-2. カスハラ条例と法律の違い
「条例」と「法律」は何が違うのでしょうか?
簡単にいうと、以下のような違いがあります。
- 法律:国全体に適用されるルール(例:労働施策総合推進法)
- 条例:自治体ごとに定められるルール(例:東京都のカスハラ防止条例)
つまり、条例はその自治体内でしか効力を持ちません。
そのため
「全国で統一されたカスハラ対策の法律はまだないけれど、一部の自治体では独自に条例を作っている」
というのが現状です。
2. カスハラ条例がある地域一覧


現在、日本でカスハラに関する条例を制定している自治体はいくつかあります。
ここでは、代表的な地域を紹介します。
2-1. 東京都のカスハラ防止条例の内容
東京都では、2024年に「カスタマーハラスメント対策推進条例」が制定されました。
この条例のポイントは以下の通りです。
- 従業員を守るために、事業者は適切な措置を取るべき
- 過剰な要求や暴言などのカスハラ行為を抑止することが目的
- 企業が取るべき対策についてのガイドラインを提供
罰則規定はないものの、企業に対してカスハラ対策を促す内容になっています。
2-2. 他の自治体(北海道・大阪府など)の取り組み



北海道や大阪府でも取り組みがあるんだね
東京都以外にも、カスハラ防止の取り組みを行っている自治体があります。
- 北海道:「カスハラ防止のためのガイドライン」を策定し、事業者に対策を求める
- 大阪府:労働環境の改善の一環として、企業向けのカスハラ対策を強化
条例として明文化されているのは東京都が代表的ですが、他の自治体でもカスハラ対策を推進する動きが広がっています。



最近では飲食店(ジョイフルなど)でも入口でカスハラの注意喚起のポスターが貼られるようになりましたね
2-3. 今後カスハラ条例が制定される可能性のある地域
現在、カスハラ条例を制定している自治体はまだ少ないですが、今後全国的に広がる可能性があります。
特に、労働環境の改善を重視する自治体では、東京都の事例を参考にして条例を作る動きが出てくるかもしれません。



主要都市(北海道・東京・大阪)ですでに対応しているので、今後は福岡・愛知などでも対応されるでしょう
また、国レベルでもカスハラ対策を強化する動きがあるため、今後全国統一の法律ができる可能性もあります。
3. 企業や就業者が知っておくべきポイント


カスタマーハラスメント(カスハラ)に対する条例ができたことで、企業や従業員はどのように対応すればいいのでしょうか?
ここでは、知っておくべき重要なポイントをわかりやすく解説します。
3-1. 事業者の責務と求められる対応策
企業は、お客様からの正当なクレームには誠実に対応する義務があります。
しかし、過度な要求や暴言・脅迫などのカスハラ行為に対しては、従業員を守るために適切な対応をすることが求められています。
具体的には、以下のような対策が考えられます。
- カスハラに関する社内ルールを明確にする(例:暴言や過剰な要求には対応しない)
- 従業員向けの研修を実施する(例:カスハラに遭遇したときの対応方法)
- 第三者機関と連携する(例:弁護士や専門機関に相談できる体制を整える)
これらの対策を講じることで、従業員が安心して働ける環境を作ることができます。



最近はカスタマーサポートセンターでも録音されるパターンが増えましたね
3-2. 就業者が受けられる保護と対応方法
カスハラに遭遇した場合、従業員も適切に対応する必要があります。
まず重要なのは、「一人で抱え込まないこと」です。
もしお客様からの理不尽な要求や暴言があった場合は、以下のような対応をしましょう。
- 冷静に対応し、必要なら上司や責任者に相談する
- 会社が定めた対応マニュアルに従う
- あまりに悪質な場合は、警察や外部機関へ相談する
企業が適切な対応策を準備していれば、従業員は不必要にストレスを感じることなく、安心して働くことができます。
外部機関について
1. 行政機関(公的な相談窓口)
① 東京都労働相談情報センター(各自治体の労働局)
- 東京都をはじめ、各自治体の労働局には「労働相談窓口」があり、カスハラに関する相談が可能です。
- 企業や労働者がカスハラの対応についてアドバイスを受けられます。
- 参考:東京都労働相談情報センター
② 厚生労働省の総合労働相談コーナー
- 全国の労働基準監督署や労働局にある相談窓口。
- 労働トラブル全般に対応しており、カスハラに関する相談も可能。
- 参考:厚生労働省 総合労働相談コーナー
3-3. 顧客等の責務と注意点
お客様の中には、
「お金を払っているのだから、どんな要求も聞いてもらえて当然」
と考える方もいます。
しかし、どんな理由であれ、従業員への過剰な要求や暴言は許されません。
カスハラ防止条例がある自治体では、企業側が「カスハラ行為に対して適切に対応できる」ようになっています。
つまり、「お客様は神様」という考え方は通用しなくなってきているのです。
企業側もお客様も、お互いに適切な距離感を持ち、気持ちよくやり取りできる環境を作ることが大切ですね。
4. 他の自治体におけるカスハラ防止の取り組み


カスハラに対する条例は、東京都だけでなく、他の自治体でも注目されています。
実際に、いくつかの地域では独自のカスハラ対策を進めています。
4-1. 北海道や他県のカスハラ関連条例の状況
例えば、北海道では「労働者を守るためのカスハラ対策」を強化しており、事業者向けのガイドラインを発表しています。
大阪府でも、企業と自治体が連携してカスハラ防止のための啓発活動を行っています。
条例の内容は自治体ごとに異なりますが、共通しているのは
「カスハラをなくすために、企業・従業員・行政が協力して取り組むことが大切」
という点です。



私は生まれが大阪なのですが、たしかに大阪はカスハラが多かったかも
4-2. 自治体間の取り組みの比較と特徴
各自治体によってカスハラへのアプローチは異なりますが、大きく分けると以下の2つのタイプがあります。
- 条例として明文化し、規定を設けるタイプ(例:東京都)
- ガイドラインを策定し、企業や従業員に啓発活動を行うタイプ(例:北海道、大阪府)
どちらの方法も、カスハラを減らすための重要な施策です。
今後、全国的にこのような動きが広がる可能性が高いですね。



東京では、すでに罰則があるんだね



いえ、罰則規定ではなくあくまでも傷害罪、強要罪、名誉毀損罪などの刑法上の犯罪に該当した場合ということです